共働き妻の保険の決め方|収入と家事分担で変わる3パターン

「主人の保険は手厚くしてもらったんですけど、私の分はどうしたらいいですか」。
共働きのご家庭から、いちばん多く受けた質問です。
そして多くの方が「私はそこまで大きくなくていいと思うんです」と続けます。
これ、ご主人が収入の柱の家庭なら正しい判断です。
でも夫婦で年収が同じくらいなら、成り立ちません。
家事や育児を奥様が中心で担っているなら、奥様のほうが保障を手厚くすべきケースすらあります。
保険代理店で11年、1,000世帯以上の相談を受けてきました。
そこで見えたのは、妻の保険は「収入の柱がどちらか」と「家事育児を誰が担っているか」の2つで決まる、ということです。
この記事では、その2軸で3つのパターンに分け、保険の種類・保障額・保険期間の決め方を順番に整理します。
読み終えるころには「自分の家庭はどのパターンで、妻にどんな保険がいくら必要か」を、自分で判断できる状態になります。
ここを感覚で決めるか数字で決めるかで、生涯の保険料は数十万〜数百万円変わります。
先に誰かと整理したい方は、無料相談の使い方もまとめています。
「主人は手厚く、私はそこまで大きくなくていい」はどこまで正しいか

冒頭の言葉、相談の現場でほぼ毎週聞きました。
そしてもうひとつ、よく見た光景があります。
奥様のほうが収入が多いご家庭なのに、保険だけは「ご主人が手厚く、奥様は最低限」の形のまま残っているケースです。
体感で、共働き世帯の1〜2割はこの状態でした。
どちらも、家庭の実態と保険の形がズレているという同じ問題です。
保険は加入した時点の家計に合わせて設計されます。
でも収入も家事分担も、結婚してから何度も変わります。
妻の保障を決めるのは、たった2つ
妻にどれだけの保障が必要かは、次の2つでほぼ決まります。
- 軸①:収入の柱はどちらか(夫寄り/ほぼ同等/妻寄り)
- 軸②:家事育児を主に担っているのは誰か(妻中心/分担)
なぜこの2つなのか。
妻が亡くなったとき、家計には2種類の穴が空くからです。
ひとつは妻の収入が消えること。これが軸①です。
もうひとつは妻が担っていた家事や育児を、お金で埋める必要が出ること。これが軸②です。
そして2つ目の穴が空くかどうかは、性別では決まりません。
決めるのは、その家庭でどちらが家事育児を多く担っているかです。
家事育児を妻が中心に担っている家庭なら、妻が欠けたときに2つ目の穴が空きます。
夫が中心に担っている家庭なら、夫が欠けたときに空きます。
この記事では、相談で多かった「妻が中心」のケースを前提に進めます。
夫が家事育児の中心であるご家庭や、夫が専業のご家庭は、夫婦を入れ替えてそのまま読み替えてください。
そのうえで「妻の保障は夫より小さくていい」と決めてしまうと、軸②を見ないまま結論を出すことになります。

STEP1|自分の家庭がどのパターンかを判定する

さきほどの2軸を、実際の判定に落とします。
軸①:収入の柱はどちらか
手取りではなく、額面の年収で比べてください。
遺族年金の計算が額面ベースだからです。
- 夫寄り:夫の年収が妻の2倍以上
- ほぼ同等:どちらかが2倍に届かない
- 妻寄り:妻の年収が夫の2倍以上
「2倍」に厳密な根拠はありません。
判定に迷わないための目安です。
境界線上なら「ほぼ同等」に寄せて考えてください。
保障を多めに見積もる側に倒れるほうが安全です。
軸②:家事育児を主に担っているのは誰か
判定の質問はひとつです。
もし妻が明日から家にいなくなったら、夫は今の働き方を続けられるか。
続けられないなら「妻中心」です。
保育園の送迎・子どもの発熱時の早退・学校行事・平日の通院。
これを主に妻が引き受けているなら、妻が抜けた瞬間に夫の働き方は変わります。
3つのパターン
2軸を組み合わせると、妻の保障は3つのパターンに分かれます。
- Aタイプ:夫が収入の柱+家事育児は妻中心 → 妻の保障は小さめ。ただしゼロではない
- Bタイプ:収入はほぼ同等+家事育児は分担 → 夫婦ほぼ同程度
- Cタイプ:収入はほぼ同等または妻寄り+家事育児は妻中心 → 妻のほうが手厚くなることがある
家事育児を分担していて夫が収入の柱なら、Aタイプに近い形になります。
妻が収入の柱で家事育児は分担、という場合はCタイプの考え方をそのまま当てはめてください。
自分がどれかを決めてから、次に進んでください。
STEP2|パターン別に、妻の保障額の水準を決める

先に前提を共有します。
必要保障額の出し方そのものは、夫でも妻でも同じです。
「残された家族に必要なお金」から「入ってくるお金と貯蓄」を引く。
この引き算の型は変わりません。
計算手順そのものは「必要保障額の計算方法|共働きが引き算で出す死亡保険の目安」で詳しく解説しています。

その記事では「妻にも一定の保障が必要」というところまで整理しました。
ここで扱うのは、その先です。
引き算に妻だけ足す項目と、パターンごとにどの水準まで持つかを決めていきます。
Aタイプ:妻は小さめでよい。ただしゼロではない
夫の年収600万円、妻は扶養内パートで年収120万円。
子ども2人、家事育児は妻中心。
この家庭で妻が亡くなったとき、消える収入は年120万円です。
一方、夫が亡くなったときに消えるのは年600万円。
必要な保障額に大きな差が出るのは自然なことでしょう。
ただし、妻の保障をゼロにするのは行きすぎです。
理由は2つあります。
ひとつは、家事育児を外注する費用が発生すること。
もうひとつは、夫が時短勤務や転職を選ぶ可能性があることです。
子どもが小さいうちの数年間だけでも、月5万円の追加支出は起こりえます。
仮に10年続けば600万円です。
Aタイプの目安は、妻の収入分+外注費として、300万〜1,000万円程度の死亡保障。
ただ、この金額だけ言われてもピンとこないと思います。

一括で300万円と言われても、多いのか少ないのか分かりにくいですよね。収入保障保険(保険金を月々に分けて受け取るタイプの保険)で「月5万円」と考えると、家事代行や病児保育の費用がだいたい吸収できる水準だとイメージできます。
そこに妻の収入分をどれだけ足すかで、月6万円にも月8万円にもなります。
総額は、この月額に「あと何年分必要か」を掛けた金額です。
だから同じ月5万円でも、お子さんの年齢によって総額は変わります。
どういう形で、どれだけの期間持つか。
そこはこのあとのSTEP3とSTEP4で決めていくので、ここでは「月いくらの穴を埋めるか」だけ押さえてください。
Bタイプ:夫婦ほぼ同額。妻の分を削る理由がない
夫450万円、妻450万円。
家事育児は分担していて、どちらが欠けても相手が働き方を大きく変えずに済む。
このタイプは、いちばん判断がシンプルです。
消える収入がほぼ同じで、外注費の発生も同程度。
だから夫婦で同じくらいの保障を持つのが自然です。
にもかかわらず、実際には「夫3,000万円・妻500万円」といった設計になっている家庭を何度も見ました。
理由を聞くと、たいてい「なんとなく」です。
Cタイプ:妻のほうが手厚くなることがある
夫450万円、妻450万円。
ただし保育園の送迎も、子どもの発熱時の対応も、学校行事も妻が担っている。
このとき妻が亡くなると、家計には3つの穴が空きます。
- 妻の収入450万円が消える
- 家事育児の外注費が新たに発生する
- 夫が時短勤務や転職を選べば、夫の収入も減る
夫が亡くなった場合に発生するのは、基本的に1つ目だけです。
つまり同じ年収でも、妻が亡くなったときのほうが家計へのダメージが大きい。
だからCタイプでは、妻の保障が夫を上回ることがあります。

妻が主収入なら、夫の保障を減らして妻に寄せる
妻の年収が夫より多いご家庭は、体感で共働きの1〜2割ありました。
決して珍しくありません。
このパターンで多かったのが、収入の柱が入れ替わっているのに、保険は昔の形のままという状態です。
結婚した頃は夫が多かった。
その後に妻が昇進したり、夫が転職して一時的に下がったりして逆転した。
でも保険は見直していない。
やることは単純で、夫の保障を減らし、妻に寄せます。
住宅ローンをペアローン(夫婦それぞれが債務者になる組み方)で組んでいる場合は、妻の借入額のほうが大きいこともあります。
その場合、団信(団体信用生命保険。契約者が亡くなるとローン残債がゼロになる保険)でカバーされる住居費も妻側のほうが大きくなります。
住居費をどちらから引くかが変わるので、ここは忘れずに確認してください。
ただし、ひとつ歯止めがあります。
妻の年収が高いということは、遺族厚生年金も大きいということです。
遺族厚生年金は、亡くなった人が納めた厚生年金の報酬比例部分の4分の3が支払われる仕組みです。
つまり収入が多いほど、必要保障額は増えますが、引ける公的保障も同時に増えます。
「妻が稼いでいるから妻を手厚く」で終わらせず、引き算まで戻してください。
思ったほど大きくならないこともあります。
遺族年金がいくら出るかは「遺族年金はいくら?共働き夫婦が夫・妻別に知る金額と2028年改正」で整理しています。

妻の必要保障額をシミュレーターで計算
パターンが決まったら、金額は自分の数字で出すのがいちばんです。家族構成・収入・住宅ローンを入力するだけで、約2分で目安が出ます。
必要保障額シミュレーターを使う →※ 入力情報は保存されません・登録不要で使えます
STEP3|保険の種類と保障内容を決める

金額の水準が決まったら、次は「どの形で持つか」です。
妻は月額で受け取る形が合いやすい
死亡保険は大きく3つです。
- 収入保障保険:毎月給料のように受け取る。掛け捨て
- 定期保険:まとまった金額を一括で受け取る。掛け捨て
- 終身保険:一生涯の保障。貯蓄性があるぶん保険料は高い
「掛け捨て」は、満期金や解約返戻金がない代わりに、保険料が安いタイプのことです。

このブログでは、保障と貯蓄を1つの商品にまとめず、分けて持つことをおすすめしています。保障は掛け捨てでいちばん安く買って、貯めるぶんはNISAなど別の場所で増やす。そのほうが、途中でどちらか一方だけを見直したいときに動きやすいからです。
妻の保障は、収入保障保険が合うことが多いです。
理由は、埋めたい穴が毎月発生する支出だからです。
外注費も、減った収入も、毎月かかります。
一括で3,000万円受け取るより、月15万円を子どもが独立するまで受け取るほうが、実際の家計には合います。
収入保障保険と定期保険の違いは「収入保障保険と定期保険はどちらを選ぶ?」で比較しています。

夫婦で形を揃える必要はない
夫は定期保険、妻は収入保障保険。
こういう組み合わせで何の問題もありません。
同じ保険会社でまとめる必要もありません。
夫婦で一緒に加入すると割引が受けられる商品もありますが、割引額より保険料そのものの差のほうが大きいことがほとんどです。
月額や期間の詰め方は「収入保障保険の選び方|共働き世帯の月額と期間」で解説しています。

設計どおりに入れないこともある
ここで正直に書いておきたいことがあります。
保険は、健康状態の告知によって、希望どおりに入れないことがあります。
保険料が上がる、特約が付けられない、特定の部位が保障の対象外になる。
これは夫婦どちらにも起こります。

我が家は保険の種類こそ夫婦とも掛け捨ての収入保障に揃えましたが、妻は告知の関係で就業不能の特約を付けられませんでした。特約で埋めるはずだった部分は、貯蓄と私の側の保障で組み替えています。設計どおりにいかないことは普通にあるので、そのとき「じゃあどう埋めるか」を考えられるかどうかだと思っています。
だから、健康なうちに形を決めておく。
これが結局いちばん動きやすい進め方です。
どの形で持つか決めきれない方へ
無料相談の使い方を見るSTEP4|保険期間を決める

保険期間は、長くするほど保険料が上がります。
必要な期間だけにしてください。
基本線は末子の独立まで
妻の保障が必要なのは、子どもにお金がかかる期間です。
いちばん下の子が大学を卒業する年齢を基準にします。
子どもが3歳と0歳なら、下の子が22歳になるまでの22年間。
妻が33歳なら、55歳満了が目安です。
子どもの独立後に残る、ひとつの男女差
ここは知っておいてほしい部分です。
遺族年金には、中高齢寡婦加算という制度があります。
40歳以上65歳未満で子どものいない妻などに、遺族厚生年金へ年額635,500円(2026年度)が上乗せされるものです。
これは妻にはあって、夫にはない上乗せです。
つまり子どもが独立したあと、夫が亡くなれば妻はこの加算を受け取れますが、妻が亡くなっても夫は受け取れません。
なおこの加算は、2028年4月から25年かけて段階的に縮小されることが決まっています。
これから保険を設計する世代にとっては、少しずつ小さくなっていく差だと考えてください。
子どもの独立後もこの差を保険で埋めたいなら、妻の保険期間を夫より長めに取る選択肢があります。
ただし、その頃には住宅ローンも終わり、教育費もかかりません。
貯蓄や夫の収入で埋められるなら、期間を延ばす必要はありません。
どこまでを貯蓄で引けるかは「生活防衛資金はいくら必要?共働き世帯の目安と、貯蓄で減らせる保険」で解説しています。


妊娠・出産と、加入のタイミング

ここは妻に特有の論点です。
妊娠中でも、死亡保険に加入できる可能性はある
「妊娠中は保険に入れない」と思っている方が多いのですが、そうとは限りません。
経過に異常がなければ、死亡保険に加入できる可能性はあります。
引受の基準は保険会社や商品によって違うので、加入できるかどうかは個別に確認してください。
医療保険は、妊娠・出産まわりが対象外になることがある
注意が必要なのは医療保険のほうです。
妊娠中に加入すると、今回の妊娠・出産に関わる部分が保障の対象外になる条件(部位不担保)が付くことがあります。
だから医療保険を持つと決めているなら、妊娠前に済ませておくほうが有利です。
死亡保険については、妊娠を待つ理由はありません。
死亡以外(就業不能・医療)の判断軸は、夫と同じ

この記事は死亡保障に絞って書きました。
働けなくなったときの備えや医療保険については、妻だからといって特別な判断軸があるわけではありません。
ただしひとつだけ、確認しておくことがあります。
妻の働き方によって、公的な保障がまったく違うという点です。
- 会社員・公務員:傷病手当金がある(通算1年6ヶ月)
- 扶養内パート:傷病手当金がない
- 自営業・フリーランス:傷病手当金がない
扶養内パートや自営業の場合、働けなくなったときに使えるのは障害年金だけです。
ここを確認してから、必要かどうかを判断してください。
詳しくは「就業不能保険はいる人・いらない人」と「医療保険はいらない?30代共働きの判断基準」で整理しています。


必要な月額の出し方は「就業不能保険はいくら必要?必要月額を出す3ステップ」、持つと決めたあとの医療保険の選び方は「医療保険の選び方」をご覧ください。
働けなくなったときの公的保障を確認する
傷病手当金と障害年金がいくら出るかは、働き方と年収で変わります。入力するだけで、自分のケースの目安が出ます。
就業不能シミュレーターを使う →※ 入力情報は保存されません・登録不要で使えます
よくある質問

妻が扶養内パートなら、保険は不要ですか
不要ではありませんが、大きな保障は要りません。
お子さんがいるご家庭なら、妻が亡くなったときも遺族基礎年金(18歳年度末までの子どもがいる家庭に支給される年金)の対象になります。
生活費の土台の部分は、ここである程度カバーできます。
そのうえで、家事育児を妻が担っている家庭なら、外注費のぶんだけは残してください。
数百万円程度の掛け捨てで足ります。
片働き・パート世帯での入る順番は「夫婦で保険は必要?入るべき順番と優先順位」で解説しています。

将来、専業主婦に戻る予定です
戻ったあとはAタイプになります。
ただし専業になると家事育児の担当が完全に妻中心になるので、外注費の部分はむしろ増える点に注意してください。
収入分の保障は減らし、外注費分は残す。
この組み替えです。
子どもがいない共働きです
必要な保障は、かなり小さくなります。
お互いに収入があり、扶養する子どももいないからです。
ただし2028年4月から、子どものいない配偶者への遺族厚生年金は、原則5年の有期給付に変わっていきます。
男性は2028年4月から一斉に、女性は20年かけて段階的に移行します。
これまで終身で受け取れる前提だった方は、5年経過後をどうするかを考えておく必要があります。
住宅ローンがある場合は、団信でカバーされる範囲を確認してから判断してください。
妻の分だけ、貯蓄型を勧められました
理由を聞いてみてください。
「奥様の分は貯蓄も兼ねてどうですか?」という説明であれば、保障と貯蓄を1つの商品にまとめる提案です。
同じ保障を掛け捨てで持って、差額を貯蓄や運用に回すほうが、手元に残るお金は多くなりやすいです。
詳しくは「死亡保険を貯蓄型で持つときの注意点」で解説しています。

まとめ|3つのパターンで、妻の保険は自分で決められる

妻の保険は、「収入の柱がどちらか」と「家事育児を誰が担っているか」の2軸で決まります。
- Aタイプ(夫が柱+妻中心):妻は小さめ。ただし外注費のぶんは残す
- Bタイプ(同等+分担):夫婦ほぼ同額
- Cタイプ(同等または妻寄り+妻中心):妻のほうが手厚くなることがある
そのうえで、種類は収入保障保険が合いやすく、期間は末子の独立までが基本線。
金額の出し方そのものは夫と同じ引き算です。
「主人は手厚く、私はそこまで大きくなくていい」。
この判断が正しいかどうかは、ご自身の家庭がどのパターンかを見てからでも遅くありません。
そして、ここを感覚で決めるか数字で決めるかで、生涯の保険料は数十万〜数百万円変わります。
自分で決めてみて、それでも判断がつかないところが残ったときに、はじめて誰かに相談すればいいと思っています。
自分で出した答えを、最後に確かめたい方へ
無料相談の使い方を見る保険選びの全体像は「保険の選び方ロードマップ」にまとめています。


