車を1台手放すときの保険解約|等級を残す2つの方法

転勤や出産、維持費の見直しで、車を2台から1台にしようと考えていませんか?
こんな状況の方に向けて書いています。
- 車を1台手放すので、保険を解約しようと思っている
- 手放す車の等級が高く、解約するのはもったいない気がする
- いずれまた2台目を買うかもしれない
- 保険の手続きを、いつ・どこにすればいいかわからない
車を手放せば、その車にかけていた保険は解約することになります。
ただ、解約のしかたしだいで、長年積み上げてきた等級は残せます。
しかも2台を1台にするときは、高いほうの等級を残る車に付け替えて、これからの保険料を下げられる場合があります。
この記事では、等級を残す2つの方法と、どちらの等級を残すかの決め方をまとめます。
保険代理店で11年間、1,000世帯以上の相談を受けてきた立場からお伝えします。
車に乗り続ける数十年で、自動車保険料の合計は数十万円単位で変わることがあります。
車を手放すと保険の解約は必要。ただし等級は残せます

車を売ったり廃車にしたりすると、保険をかける車がなくなるので、解約の手続きが必要です。
ただ、何も手続きをせずに解約すると、その契約で積み上げてきた等級はなくなってしまいます。
解約するだけでは、積み上げた等級はなくなります
等級(ノンフリート等級)は、事故なく保険を続けた年数に応じて上がる、保険料の割引の段階です。
初めて入るときは6等級から始まり、事故がなければ1年ごとに1つずつ上がり、最高は20等級です。
一般的な等級表では、20等級になると割引前の保険料から63%が引かれます。
解約しただけで次に車を買うと、原則としてまた6等級からのやり直しです。

20等級まで上げるには、6等級から事故なしで14年かかります。手放す車と一緒に消してしまうのは、もったいないですよ。
等級を残す方法は「付け替え」と「中断」の2つ
車を手放すときに等級を残す方法は、次の2つです。
- 付け替え:手放す車の等級を、残る車の保険に移す(等級の低いほうの契約を解約する)
- 中断:解約するときに「中断証明書」を発行してもらい、等級を最長10年保管しておく
2台を1台にする家庭では、この2つを組み合わせられることがあります。
高いほうの等級を残る車に付け替え、余ったほうの等級は中断して残す方法です。

等級を付け替えられるのは「買うとき」と「手放すとき」
2台の車にそれぞれ保険をかけていても、ふだんは2台の等級を入れ替えることはできません。
保険会社が等級の付け替えを認めているのは、主に車を新しく買うときと、1台を手放すときです。
「中断」も「付け替え」も、知っている方はほとんどいません

車を手放すときのご相談で、お客さまから「中断」という言葉が出ることはまれです。
多くの方は、解約の手続きの中で代理店や保険会社から聞いて、初めて知ります。
等級の付け替えとなると、さらに知られていません。
車を買い替えるときに付け替えを知っている方は少しいますが、台数が減るときにもできると知っている方は、ほとんどいませんでした。
手放す車の解約だけを伝えると、残る車の契約まで話が広がらないこともあります。
連絡するときは「2台のうち1台を手放す」と伝えることが大切です。

解約の連絡をするときは、「2台のうち1台を手放します。等級はどう残せますか?」と一言添えてみてください。
2台を1台にするなら、高いほうの等級を残る車に付け替えましょう

付け替えるかどうかは、手放す車と残す車のどちらの等級が高いかで決まります。

手放す車のほうが等級が高いとき → 残る車に付け替える
たとえば夫の車が20等級・妻の車が8等級で、夫の車を手放す場合です。
夫の車の契約を何もせずに解約すれば、20等級は消えてしまいます。
中断して20等級を残しても、残る妻の車は8等級のままです。
そこで、20等級の契約の対象を、妻の車に入れ替えます(車両入替)。
すると、残る車の保険料に20等級の割引が使えるようになります。
付け替えができるのは、残る車の持ち主が次のどれかに当てはまる場合です。
- 手放す車の持ち主
- その契約で主に運転する人(記名被保険者)
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者や配偶者と同居している親族
夫婦それぞれの車なら、多くの場合はこの条件に当てはまります。
ほかに、自家用の乗用車や軽自動車など、決められた種類の車であることも条件です。
残す車のほうが等級が高いとき → 付け替えは不要
残す車がもともと高い等級なら、付け替える必要はありません。
手放す車の契約は、解約するときに中断で等級を残せるかを確認しましょう(中断は次の章で説明します)。
試算例:20等級と8等級で、毎年の保険料はどれくらい違う?
割引の差が、実際の保険料でどれくらいになるかを試算してみます。
残る車の割引前の保険料を年12万円とした、あくまで一例です。

20等級なら63%引きで、年約4.4万円です。
8等級なら38%引きで、年約7.4万円です。
差は1年で約3万円になります。
8等級から毎年1つずつ上がっても、20等級に届くまでには12年かかります。
その間に2台目を買い直さなければ、12年間の差は合計で約18万円です。
割引率が「割引前の保険料」にかかるしくみは、【車両保険はいくらから使う?自損事故の修理代と上がる保険料の早見表】でも説明しています。

等級に差がない夫婦は、気にしなくて大丈夫です
わが家も、車を2台持っています。
夫婦とも親から等級を引き継いだ20等級なので、付け替えを考えたことはありません。
どちらの車を手放しても、残る車は20等級のままだからです。
付け替えで差が出るのは、2台の等級に差がある家庭です。
運転を始めた時期や、保険に入った時期が夫婦で違えば、等級に差があることは珍しくありません。

数字を覚えなくても、「手放すときは、高いほうの等級を残る車へ」とだけ覚えておいてもらえれば十分です。
付け替えた後の契約は、次の満期でほかの保険会社に移しても、等級はそのまま引き継げます。
余ったほうの等級は、中断して残しておきましょう

付け替えをすると、等級の低いほうの契約が余ります。
この余った契約も、解約するときに中断の手続きをしておけば、等級を残せます。
中断とは:車を持たない間も等級を保管できる仕組み
中断は、車を手放して保険をやめるときに、それまでの等級を保管しておける仕組みです。
保険会社に「中断証明書」を発行してもらうと、次に車を買ったときに、その等級で入り直せます。
主な条件は次のとおりです(保険会社によって細かな違いがあります)。
- 車を手放した(廃車・売却など)ことが理由であること
- 次の契約で7等級以上になること
- 発行は無料で、別の保険会社で入り直すときにも使える
- 使える期間や申請の期限が決まっている(くわしくは「中断のデメリットと注意点」で説明)
付け替えと中断を組み合わせると、両方の等級を残せる
先ほどの例なら、20等級は残る車に付け替え、余った8等級の契約は中断します。
保険会社によっては、中断できる理由の1つに「ほかの契約への車両入替」を挙げています。
付け替えで車がなくなった契約も、中断の対象になるということです。
数年後にまた2台目を買ったときは、中断した8等級から入り直せます。

付け替えた後の中断ができない保険会社もある
ただし、付け替えた後の契約の中断を認めていない保険会社もあります。
手続きの前に、「付け替えた後、余った契約は中断できますか」と確認しておくと安心です。
もし中断できなくても、残る車が11等級以上なら、また2台目を買うときに「2台目の割引(セカンドカー割引)」を使って7等級から入れる場合があります。
余るのが8等級前後なら、失う分はそれほど大きくありません。

中断できるかどうかは会社で違うので、付け替えをお願いするときに、一緒に聞いておくのがおすすめです。
また2台目を買うときも、付け替えはもう一度できます
「いずれまた2台目を買うなら、高い等級は中断で取っておいたほうがいい?」と迷う方もいるかもしれません。
その場合も、今は付け替えておいて大丈夫です。
2台目を買うときは「新しく買うとき」にあたるので、そのときにもう一度等級を付け替えられるからです。
- 今の保険料がすぐに下がる(1台にする理由が節約なら、なおさら)
- 買い直すときに、保険料の高い車へ高い等級を付け直せる
- 買い直さないまま10年が過ぎても、失うのは低いほうの等級で済む
新しく買う車のほうが保険料が高いなら、高い等級を新しい車に付け替え、今まで乗っていた車は中断しておいた等級で入り直せます。
たとえば新しい車に20等級を付け、今の車には中断していた8等級を付ける組み方です。

買い直すときにもう一度付け替えられるので、まずは今の家計が楽になるほうを選んでおけば大丈夫です。
2台目を買うときに、高い等級をどちらの車に付けるか・重なる特約をどう外すかは、【2台目の自動車保険料を抑える|等級の付け方と特約の重なり】で試算例つきで解説しています。

連絡は「売る前」に。売った後でも間に合う場合があります

車を手放すときのご連絡は、売る前にいただくことが多く、売った後の方もたまにいらっしゃいます。
ただ、契約している車を売ることは、保険会社や代理店に連絡しなければならない事項です。
どの保険会社の重要事項説明書にも、「通知義務等」として、車を譲渡するときや入れ替えるときはただちに連絡するよう書かれています。
車を売る日や廃車の日が決まった段階で、保険会社か代理店に連絡しましょう。

車を売る前に、保険会社か代理店へ連絡する
売る前に連絡しておけば、付け替えや中断の手続きを、車の引き渡しの日に合わせて進められます。
売った後に気づいたときは、すぐに連絡する
車を売った後でも、保険をまだ解約していなければ、付け替えや中断の手続きができる場合があります。
中断証明書は、解約日や満期日から一定の期間内なら、後から発行を申し込める保険会社もあります。
気づいた時点で、早めに連絡しましょう。
用意するもの
- 車を手放したことがわかる書類(廃車や名義変更の証明書など。保険会社の指定に従う)
- 残る車の車検証
- 2台分の保険証券
2台の保険会社が違うときは、手続きが増えます
付け替えは、高い等級の契約をしている保険会社で、残る車に入れ替える手続きです。
残る車の契約が別の保険会社なら、そちらの解約や中断の手続きを別に行います。
2社に連絡することになり、書類のやりとりも増えます。
将来また台数が変わりそうなら、更新のときに同じ保険会社にそろえておくと、手続きが楽になります。

どこに連絡すればいいか迷ったら、まず高い等級の契約をしている保険会社か代理店に相談してみてください。
主に運転する人が変わるなら、一緒に伝える
付け替えた後、残る車を主に運転するのが配偶者なら、記名被保険者の変更も一緒に伝えます。
配偶者や同居の親族への変更なら、等級はそのまま引き継げます。年齢条件などの見直しが必要になることもあります。
中断のデメリットと注意点

中断は無料で使える便利な仕組みですが、いくつか注意点があります。
有効期間は10年。買い直したら1年以内に使う
中断した等級が使えるのは、中断した日から10年以内です。
10年を過ぎると無効になり、次に入るときは6等級からのスタートです。
また、新しい車を買った日の翌日から1年以内に契約しないと、中断証明書を使えない場合があります。
- 有効期間:中断した日から10年
- 使うとき:新しい車を買った日の翌日から1年以内に契約
- 発行の申請:解約日や満期日から13か月以内など(会社によって異なる)
事故で等級が下がっていると、その状態も引き継ぐ
中断前の契約で事故があり保険を使っていた場合は、下がった等級のまま保管されます。
事故有係数適用期間(事故の後に割引が小さくなる期間)も、そのまま引き継がれます。
次の契約が6等級以下になる場合は、中断証明書を発行できません。
事故で保険を使ったときに保険料がどう変わるかは、【3等級ダウンの保険料計算ツール|長期契約・事故有係数にも対応】で計算できます。

10年以内に車に乗る予定がないなら、中断はいらないことも
10年以内にまた車を持つ予定がなければ、中断証明書を使う機会はありません。
ただ、発行は無料です。先のことはわからないので、条件を満たすなら取っておくのがおすすめです。

10年は長いので、中断証明書の保管場所は家族で共有しておくと安心ですよ。
車を手放すときの保険でよくある質問

Q. 転勤で車を手放すときも、同じように考えればいい?
はい、考え方は同じです。
転勤で車が1台で足りるようになり、2台のうち1台を手放すなら、付け替えと中断を考えられます。
2台とも手放す場合は、それぞれの契約で中断を考えます。
海外への転勤なら、海外渡航を理由にした中断を扱っている保険会社もあります。
- 1台を手放すなら:付け替え+中断
- 2台とも手放すなら:それぞれ中断
- 海外赴任なら:海外渡航の中断を確認
Q. 妻が仕事を辞めて、車を1台にするときは?
こちらも考え方は同じです。
手放すのが妻の車でも、妻の車の等級のほうが高ければ、残る夫の車に付け替えられます。
夫婦それぞれの車なら、持ち主の条件にも当てはまりやすいです。
- どちらの車を手放す場合も、高いほうの等級を残る車へ
- 主に運転する人が変わるなら、記名被保険者の変更も一緒に
Q. 解約すると、保険料は戻ってくる?
1年分をまとめて払っている場合は、残りの期間に応じて保険料の一部が戻ります。
ただし、戻る額は保険会社ごとの計算方法で決まり、日割りとは限りません。
中断も解約の手続きの1つなので、保険料は同じように精算されます。
- 年払いなら、残りの期間に応じて一部が戻る
- 戻る額は会社の計算方法で決まる(日割りとは限らない)
Q. 等級が低くても、中断しておいたほうがいい?
次の契約が7等級以上になるなら、中断証明書を発行できます。
7〜9等級くらいなら、また2台目を買うときに「2台目の割引」を使える場合と比べて、差は小さめです。
2台目の割引は、すでに持っている車の契約が11等級以上なら、2台目を7等級から始められる割引です(持ち主の範囲などの条件あり)。
発行は無料なので、条件を満たすなら取っておきましょう。
- 次の契約が7等級以上なら発行できる
- 等級が低めでも、発行は無料なので取っておく
まとめ:車を1台手放すときは、解約の前に等級の残し方を確認する

車を2台から1台にするときは、保険を解約する前に、等級の残し方を確認しましょう。
- 何もせずに解約すると等級はなくなる。残す方法は「付け替え」と「中断」
- 手放す車の等級が高いなら、残る車に付け替える
- 余ったほうの等級は、中断して残せることが多い
- 連絡は車を売る前に。「2台のうち1台を手放す」と伝える
車に乗り続ける数十年で、自動車保険料の合計は数十万円単位で変わることがあります。
1台になったときは、残る車の保険を見直すきっかけにもなります。
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保険料が決まるしくみと下げるポイントは、【自動車保険はなぜ差がつく?保険料を下げる8つのポイント】で解説しています。

更新で保険料が上がった理由が気になる方は、【自動車保険が高くなったのはなぜ?更新で上がる4つの理由と対処法】もあわせてご覧ください。


