こどもがいる家庭で死亡保険はいくら必要?わかりやすくシンプルに解説
「死亡保険って2,000万円くらいでいいのかな?」「3,000万円は必要って聞いたけど本当?」
子育て中は特にこういった疑問を持ちやすいです。ネットで調べてもサイトごとに言っていることがバラバラで、「結局うちの家庭はいくら必要なの?」と迷ったままになっている方は多いです。

保険代理店で11年間、1,000世帯以上の相談を受けてきた私の結論はこうです。死亡保険の金額は「遺族の支出 − 遺族の収入」で計算すれば、あなたの家庭にぴったりの金額がわかります。
この考え方を身につけるだけで、生涯の保険料が数十万〜数百万円変わることも珍しくありません。この記事では、子育て世帯に向けて必要保障額の出し方と、コスパの良い保険の選び方をシンプルに解説します。
この記事を読むとわかること
- 死亡保険の必要保障額を3ステップで計算する方法
- モデルケース別の必要保障額の目安
- 子育て世帯にコスパが良い死亡保険の選び方
1. 死亡保険が子育て世帯にとって最優先な理由
保険にはいろいろな種類がありますが、子どもが小さい家庭では死亡保険が最優先で備えるべき保険です。
その理由はシンプルです。家計を支えている人が亡くなると、残された家族の生活が成り立たなくなるからです。
医療費は高額療養費制度で月の自己負担に上限がありますし、短期の入院なら貯蓄でカバーできるケースがほとんどです。でも、稼ぎ手の死亡は収入がゼロになるため、公的保険(遺族年金)だけではカバーしきれません。
なぜ子育て世帯で最優先なのか?
- 子どもが独立するまで、教育費・生活費が長期間かかる
- 遺族年金だけでは毎月の生活費が足りないケースが多い
- 確率は低いが、起きた時に家計が破綻する典型的なリスク

保険は「起こるかどうか」ではなく「起きた時に対処できるか」で考えるのが基本です。死亡リスクは確率が低くても、ダメージが大きすぎるから保険で備える必要があるんですね。詳しくは保険はいくら必要?リスク別に考える「我が家の不足分」の出し方をご覧ください。
2. 必要保障額の計算方法:3ステップでシンプルに
死亡保険の金額は、次の計算式で出せます。
必要保障額 = 遺族の支出合計 − 遺族の収入合計
考え方はとてもシンプルです。万が一のとき、残された家族がこれから必要なお金から、もらえるお金や使えるお金を引いた差額が、死亡保険でカバーすべき金額になります。
具体的に3つのステップで計算してみましょう。
ステップ1:遺族の支出を計算する
まず、稼ぎ手が亡くなった後に必要になるお金を大きく3つに分けて考えます。
| 支出の項目 | 考え方 | ざっくり目安 |
|---|---|---|
| 生活費 | 現在の生活費の約70% (亡くなった方の分が減るため) |
月20万円なら → 月14万円 |
| 教育費 | 子ども1人あたりの合計額 | 公立中心:約1,000万円 私立混在:約1,500〜2,000万円 |
| 住居費 | 賃貸 → 家賃が続く 持ち家(団信あり)→ ローン残高ゼロに |
賃貸:月8万円×必要年数 持ち家:固定資産税+修繕費 |
必要年数は「末子が独立するまで」が基本の目安です。たとえば末子が3歳なら、22歳で独立する想定で約19年間の生活費が必要になります。
ステップ2:遺族の収入を計算する
次に、万が一のあとに入ってくるお金を確認します。ここを見落とすと、保険を多くかけすぎる原因になります。
| 収入の項目 | 内容 | ざっくり目安 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子どもがいる配偶者に支給 (子が18歳年度末まで) |
子1人:約105万円/年 子2人:約130万円/年 |
| 遺族厚生年金 | 会社員・公務員の配偶者に支給 (子の年齢に関係なく受給可) |
年収500万円の方で 約40〜50万円/年 |
| 配偶者の収入 | パート → フル勤務に切替え? 専業主婦 → 就労開始? |
今後の働き方で大きく変わる |
| 貯蓄 | 現在の貯蓄から取崩し可能な額 (生活防衛資金は残す) |
家庭による |
ステップ3:差額 = 必要保障額を出す
ステップ1の支出からステップ2の収入を引いた金額が、死亡保険で備えるべき金額です。
具体的なモデルケースで計算してみましょう。
モデルケース:会社員の夫+パート妻+子ども2人(3歳・0歳)
夫の年収:500万円 / 妻のパート収入:月8万円 / 貯蓄:400万円 / 賃貸(月8万円)
【支出】末子が22歳になるまでの22年間
・生活費:月14万円 × 12か月 × 22年 = 3,696万円
・教育費:1,000万円 × 2人 = 2,000万円
・住居費:月8万円 × 12か月 × 22年 = 2,112万円
・支出合計:約7,808万円
【収入】
・遺族基礎年金:約130万円/年 × 18年 = 約2,340万円
・遺族厚生年金:約45万円/年 × 22年 = 約990万円
・妻のパート収入:月8万円 × 12か月 × 22年 = 約2,112万円
・貯蓄取崩し:200万円(生活防衛資金200万円は残す)
・収入合計:約5,642万円
必要保障額 = 7,808万円 − 5,642万円 = 約2,200万円
このケースだと、死亡保険の必要保障額は約2,200万円という結果になりました。これは一例です。教育費(公立か私立か)・妻の就労状況・住居(持ち家・賃貸)によって金額は大きく変わります。

計算が面倒に感じるかもしれませんが、ざっくりでOKです。大切なのは「なんとなく」で決めるのではなく、根拠をもって金額を出すこと。この一手間が、生涯の保険料を数十万〜数百万円変えます。
3. 【モデルケース別】必要保障額の目安
「自分の家庭だとどのくらいだろう?」と気になりますよね。ここでは3つのパターンで、必要保障額のざっくり目安を紹介します。
| パターンA | パターンB | パターンC | |
|---|---|---|---|
| 家族構成 | 会社員夫+専業主婦 +子1人 |
会社員夫+パート妻 +子2人 |
自営業夫+専業主婦 +子1人 |
| 住まい | 持ち家(団信あり) | 賃貸 | 賃貸 |
| 遺族厚生年金 | あり | あり | なし |
| ポイント | 団信で住居費負担が 大幅に軽くなる |
家賃が続くため 支出が大きくなる |
遺族厚生年金がなく 公的保障が薄い |
| 必要保障額の ざっくり目安 |
1,500〜2,000万円 | 2,000〜3,000万円 | 3,000〜4,000万円 |

パターンCのように自営業の方は、遺族厚生年金がないぶん必要保障額が大きくなりやすいです。その代わり、国民年金基金や小規模企業共済で備える方法もあるので、トータルで考えてみてくださいね。
4. 死亡保険の選び方:子育て世帯には「収入保障保険」がおすすめ
必要保障額がわかったら、次は「どの種類の死亡保険に入るか」です。死亡保険は大きく3種類ありますが、子育て世帯に向く種類とそうでない種類があります。
4-1. 定期保険・収入保障保険・終身保険の違い
| 定期保険 | 収入保障保険 | 終身保険 | |
|---|---|---|---|
| 保障期間 | 一定期間 (10年・20年など) |
一定期間 (60歳まで・65歳までなど) |
一生涯 |
| 保険金の 受取り方 |
一括 | 毎月定額 (給料のように) |
一括 |
| 保険金の 推移 |
ずっと同額 (四角い保障) |
満期に向けて減っていく (三角の保障) |
ずっと同額 |
| 月々の 保険料 |
安い | いちばん安い | 高い |
| 貯蓄性 | なし(掛け捨て) | なし(掛け捨て) | あり |
4-2. なぜ収入保障保険がコスパ最強なのか
子育て世帯の死亡保険でいちばんおすすめなのは収入保障保険です。理由は3つあります。
収入保障保険がおすすめな3つの理由
- 保障が合理的:子どもの独立に向けて必要保障額は年々減っていく。収入保障保険はこの「三角の保障」にぴったり合う設計
- 生活費に充てやすい:毎月定額で受け取れるので、お給料の代わりとして使いやすい
- 保険料がいちばん安い:同じ初期保障額なら、定期保険よりも月々の保険料が安くなる
たとえば、30歳男性が65歳まで月額10万円の収入保障保険に入ると、月々の保険料は約2,000〜3,000円が目安です。同じ初期保障額を定期保険で用意しようとすると、月々の保険料は倍以上になるケースがほとんどです。

「三角の保障」と聞くと損した気分になるかもしれませんが、考えてみてください。子どもが20歳のときに必要なお金と、0歳のときに必要なお金はまったく違います。必要な分だけ備えるから保険料が安くなる、これが収入保障保険の仕組みです。
4-3. 終身保険を死亡保障に使うのはもったいない
「貯蓄もできるから」と、子育て期の死亡保障に終身保険を選ぶ方は多いです。でも、はっきり言います。子育て世帯の死亡保障に終身保険はおすすめできません。
終身保険の注意点
- 同じ保険料でも、掛け捨て型と比べて保障額が大幅に少なくなる
- 貯蓄目的なら、つみたてNISAや預貯金のほうが使い勝手が良い
- 途中解約すると元本割れするリスクがある
保障は保障、貯蓄は貯蓄で分けて考えるのが基本です。保障は収入保障保険で安くカバーし、浮いた保険料を貯蓄や投資に回す。これがトータルでいちばんコスパの良い選択です。
5. よくある疑問Q&A
Q. 共働きなら妻にも死亡保険は必要?
妻の収入が家計に大きく貢献しているなら、検討する価値があります。ポイントは「妻の収入がなくなったとき、夫の収入と遺族年金だけで生活が成り立つかどうか」です。フルタイム共働きなら妻にも死亡保険をかけるケースは多いですが、パートで年収100万円程度なら、夫の収入でカバーできます。
Q. 住宅ローンの団信があれば死亡保険は減らせる?
はい、減らせます。団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が亡くなると残りのローンが完済される仕組みです。つまり、持ち家の方は住居費の心配がなくなるので、その分だけ必要保障額が下がります。先ほどのモデルケースでいえば、住居費の2,112万円がほぼゼロになるイメージです。
Q. 子どもが成長したら保険を見直すべき?
見直すべきです。子どもが成長するにつれて、独立までの必要年数が短くなるので必要保障額は減っていきます。収入保障保険なら自動的に保障が減る設計ですが、定期保険で加入している場合は、更新時に保障額を下げると保険料を節約できます。ライフイベント(第二子誕生、住宅購入など)のたびに見直してください。
Q. 保険金額は途中で変更できる?
保険会社や商品によりますが、一般的に減額は可能です。増額は新たに告知(健康状態の確認)が必要になるケースがほとんどです。最初は少し多めに加入しておいて、あとから減額していくのも有効な方法です。
6. まとめ:死亡保険は「計算」で決めれば、ムダなく安心できる
この記事のまとめ
- 必要保障額 = 遺族の支出 − 遺族の収入で計算する
- 子育て世帯の必要保障額は1,500〜4,000万円が目安(働き方・住まいで変わる)
- コスパが良い保険は収入保障保険(三角の保障で合理的+保険料が安い)
- 保障と貯蓄は分けて考えるのが基本
- 子どもの成長やライフイベントに合わせて定期的に見直す
死亡保険は「なんとなく不安だから多めに」ではなく、計算で根拠を持って決めましょう。この考え方を身につけるだけで、生涯の保険料が数十万〜数百万円変わることも珍しくありません。
「自分の家庭で具体的にいくら必要か計算してみたい」「本当にこの金額で大丈夫か確認したい」という方は、この記事の考え方を頭に入れた状態で、保険のプロへの無料相談を活用してください。必要な保障額と保険の種類をある程度整理してから相談に行けば、担当者の言いなりになることなく、主導権を持って話を進められます。

保険は「必要な分だけ、必要な期間だけ」が基本です。この考え方を身につければ、保険料で家計を圧迫することはなくなります。
出典:日本年金機構「遺族年金」、文部科学省「子供の学習費調査」(2022年)
